RPEとは?筋トレの強度指標とRIR(予備回数)の考え方 | Strongbro
クイックアンサー
RPE(自覚的運動強度)は、セットのきつさを1から10で表す指標で、10は限界(これ以上1回もできない)を意味します。筋トレでは「あと何回できたか(RIR)」と直結しており、RPE 8はあと2回、RPE 9はあと1回できる余裕があることを示します。重量や回数だけでなく、その日のコンディションによる「きつさ」を記録することで、トレーニングの質を客観的に管理できます。
重量と回数は「何をしたか」を示しますが、RPEは「どれだけ負荷がかかったか」を示します。80 kg × 5というセットも、ある人にとってはウォーミングアップであり、別の人にとっては限界ギリギリの記録かもしれません。また、同じ人でも週によってその重さの感じ方は変わります。RPEは、その違いを1つの数字で記録するための指標です。
RPEの仕組み
スケールは1から10まであり、10は「正しいフォームでこれ以上1回もできない」状態を指します。数字が1下がるごとに、あと1回できる余裕があることを意味します。筋トレにおけるRPEの定義は、このRIR(予備回数)との対応関係に基づいています。
| RPE | 予備回数 (RIR) | セットの感覚 |
|---|---|---|
| 10 | 0 | 限界、これ以上不可 |
| 9.5 | 0〜1 | あと1回できるか微妙 |
| 9 | 1 | あと1回できる |
| 8.5 | 1〜2 | 1回は確実、2回できるかも |
| 8 | 2 | あと2回できる |
| 7.5 | 2〜3 | 2回は確実、3回できるかも |
| 7 | 3 | あと3回できる |
| 6 | 4 | あと4回できる |
| 5以下 | 5以上 | ウォーミングアップや軽い技術練習 |
具体例を挙げます。ベンチプレス80 kg × 5を、あと2回できる余裕を持って終えた場合、RPEは8です。翌週、同じ80 kg × 5で、あと1回しかできない状態ならRPE 9となります。重量と回数は同じでも、RPEを記録することで「先週よりきつかった」という事実をログに残せます。その翌週にRPE 7(あと3回できる)と感じれば、重量を増やすタイミングだと判断できます。
このスケールには2つの歴史があります。Borgが考案した有酸素運動用のオリジナル版は、数値を10倍すると心拍数と連動するように6〜20で構成されていました。現在筋トレで使われる1〜10のスケールは、2016年にZourdosらが心拍数ではなくRIR(予備回数)に基づいて体系化したものです。
ログにRPEが必要な理由
重量と回数は客観的なデータですが、RPEは主観的なデータです。両方を記録することで、トレーニングログの精度が高まります。
停滞の原因を特定できます。100 kg × 5が3週間続いた場合、数字だけ見れば停滞ですが、RPEが9→8→7と推移していれば「楽になっており、重量更新が近い」と判断できます。逆に8→9→10なら「限界に近く、調整が必要」と判断できます。同じ数字でも、RPEによって取るべき行動が変わります。
次回の重量設定の指針になります。「5回でRPE 8」のようなプログラムなら、その日の調子に合わせて負荷を調整できます。調子が良ければ85 kg、悪ければ77.5 kgといった具合に、無理のない範囲で強度を維持できます。
推定1RMの精度を保てます。1RM計算式は限界に近いセットを前提としています。80 kg × 8でRPE 6(あと4回できる)という記録と、RPE 10という記録では、算出される1RMの信頼性が全く異なります。
よくある間違い
- すべてのセットをRPE 10にする。 毎回限界まで追い込むと疲労が蓄積し、早期に停滞します。メインセットはRPE 7〜9に収めるのが基本です。
- セット前にRPEを決める。 RPEはセット終了後に「どれだけきつかったか」を評価するものです。最初から目標として決めるものではありません。
- 高回数セットでの過信。 RIRの判断は2〜8回程度なら正確ですが、15回を超えるような高回数セットでは誤差が大きくなります。回数が多い場合は参考程度に留めましょう。
- 強く見せようとしてRPEを低く記録する。 本来RPE 9なのにRPE 7と記録すると、次週の重量設定を誤り、失敗の原因となります。ログは正直に記録してこそ意味があります。
- メインセットで記録を忘れる。 すべてのセットを記録する必要はありませんが、その日の最も重いセットには必ずRPEを残しましょう。それが次回の判断基準になります。
Strongbroの推定1RMや自己ベスト、進捗リストは重量と回数から計算されます。RPEはアプリが計算するものではなく、あなたが次回のトレーニングに向けて判断を下すための重要な指標です。進捗管理ガイドでは、これらを組み合わせて週次レビューを行う方法を解説しています。関連用語:漸進性過負荷の原則、トレーニングボリューム、用語集。
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よくある質問
RPEとRIRの違いは何ですか?
両者は同じ現象を異なる視点から表現したものです。RIRは「あと何回できたか」という予備回数を数え、RPEは「きつさ」を10段階で評価します。RPE 10はRIR 0、RPE 9はRIR 1、RPE 8はRIR 2に対応します。RPE 5以下になると回数の見積もりが難しくなるため、多くのトレーニーはRIRで考え、記録としてRPEを残します。
RPEは正確な指標ですか?
トレーニングを積むほど精度は向上します。限界に近いセットであれば、熟練者は1回程度の誤差でRIRを判断できます。この指標は2016年にZourdosらによって筋トレ用に検証されており、その概念の基礎は1970〜80年代のBorgの研究に由来します。
6〜20のRPEスケールとは何ですか?
これはBorgが考案した有酸素運動用のオリジナルスケールで、数値を10倍すると心拍数と概ね一致するように設計されています。筋トレで使われる1〜10のスケールは、心拍数ではなくRIRに基づいた後年の適応版です。プログラムにRPE 8とあれば、ほぼ間違いなく10段階の筋トレ用スケールを指します。
メインセットのRPEはどれくらいが適切ですか?
多くの筋力向上・筋肥大プログラムでは、RPE 7〜9(RIR 1〜3)が推奨されます。RPE 10はテストや最終セットなど限定的に使用します。毎セット限界まで追い込むと疲労が蓄積しやすく、結果的に効率が下がるためです。ウォーミングアップはRPE 5以下が目安です。
RPEを使って重量を決めるには?
目標から逆算します。例えば「5回でRPE 8」という指示なら、7回程度できる重量を選びます。先週の80 kg × 5がRPE 7なら重量を少し増やし、RPE 9.5なら据え置くといった判断が可能です。RPEを使うことで、その日の体調に応じた適切な負荷設定が可能になります。
根拠・出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット — 身体活動
- World Health Organization — physical activity fact sheet
- Borg — Psychophysical bases of perceived exertion (Medicine and Science in Sports and Exercise, 1982)
- Zourdos et al. — Novel Resistance Training-Specific Rating of Perceived Exertion Scale Measuring Repetitions in Reserve (Journal of Strength and Conditioning Research, 2016)
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